さて、前章の続きとなりますが『HCCI機関』はガソリンとディーゼルの良い点を融合した物、即ち環境性能が高く、低燃費なエンジンだと言えます。
しかし、このような『夢のようなエンジン』ならどうして今まで商品化されなかったのか?
それは、技術的なハードルがあった事に他なりません。
その技術的問題点は2つ。
『点火タイミングの制御が困難』な事と、『運動領域が狭い』という点です。
点火タイミングの制御が困難
◆ ガソリンエンジン (プラグで)火花を散らす。
◆ ディーゼルエンジン 燃焼室に軽油を噴射する。
今までのエンジンは、上記のような物質的要因により点火のタイミングをある程度制御する事が可能でした。
しかし、『HCCIエンジン』では、既に気体と燃料が混合された状態で存在する為、『高温による自然着火』というあやふやな化学反応が起因となる為、その制御には高度な技術が要求されます。
狭い運転領域
HCCI は、燃焼室内の混合ガスの温度が低いと着火できず、高付加状態(加速・高速走行)ではノッキングを起こしてしまいます。
その為、全ての走行シーンで使用出来るものでは無く、万全の状態でしか、その真価を発揮出来ないという欠点が存在します。
これらの欠点を補う為にマツダが独自に開発した技術が『スカイアクティブX』(SPCCI機関)なのです。
では、どのように『改良』したか?
簡単に言うと、
圧縮発火とプラグ発火の併用です。
具体的には、まずピストンで発火する直前まで混合気の圧縮を行います。
そして、最後にプラグ周辺に薄い燃料を噴射して点火させる事で、小さな爆発を発生させるのです。
その爆発により空気が膨張し、ピストンにより着火寸前まで圧縮された混合気をさらに圧縮させ爆発を起こさせる、というシステムです。
最近の欧州のディーゼル排ガス不正問題により『アンチ・ディーゼル』の気運が高まる中、このエンジンはマツダにとって最高の武器となります。
『HCCI機関』の理論は既に1980年代から在りましたが、過去、量産化を成し遂げたメーカーは存在しません。
文字通り『夢のエンジン』だったのです。
この『次世代エンジン』を搭載すると言われる『次期アクセラ』が今年の11月に開催される『ロサンゼルス・モーターショー』でお披露目されるという情報が有力となっています。
このような新技術をフラッグシップ・モデルでは無く、低位モデルである『アクセラ』に搭載するあたりは、マツダらしいと言えますが、消費者にとっては大変喜ばしい事だと思います。
デザインに関しては、『魁コンセプト』をベースとしたモデルとなると思いますが、最近のマツダのデザインは期待を上回る美しさが印象的ですので、また私達を驚かせてくれるものと確信してます。
あと、半年の時間、ファンにとっては大変永く感じるのではないでしょうか?
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