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免許証更新時に、貴方が『交通安全協会』への寄付をしてはいけない訳。

 

 

免許の更新の度に行く『運転免許センター』。

 

いつ行っても長い行列が出来ていて、違反の状況により毎回長い講習を受けさせられる。

その為に、仕事を休んだり、半休を取らなくてはならず、数年に1回とは言え正直かなり面倒な『行事』だと言えます。

 

 

その際に必ず要求されるのが『交通安全協会』への加入です。

費用は都道府県により区々ですが、おおよそ年間300~700円。

これに免許の更新年数を掛けた金額、仮にゴールドであれば5年ですので1500~3500円の支払いを要求されます。

 

 

 

 

この『加入』という名を借りた寄付は『任意』なんですが、それを説明しないまま『義務』と誤認するような勧誘の仕方が後を絶たず問題視されています。

 

 

また、説明の際も、

 

『交通安全の為に使用します。』

 

という漠然とした説明のみで、実際に何に使用されているのか理解出来ません。

 

 

では、この『交通安全協会』とは一体何なんでしょうか?

主な業務は以下の通りです。

 

  • 自動車・原付の運転免許証の更新事務。
  • 安全運転講習の提供。
  • 申請書や印紙の委託販売業務。
  • 自転車などに貼る反射シールの販売。

 

これらは、都道府県管轄の財団法人として都道県警察本部又は諸葛警察署の内部に設置されています。

 

 

意外と知られていない事ですが、これらの業務は彼らの専任事業では無く、一部の業務は一般競争入札で公募されています。

ただ、実際は多くの業務が『随意契約』になっていたり、一般競争入札ではあるが、競争相手自体が存在しないという状況でなのです。

 

 

では、なぜ民間業者が参入出来ないのか、というと入札に参加するにも審査が必要になり、そのハードルが高いという事。

また、意図的に参入障壁が作られている、という点が挙げられます。

(そもそも、国から補助金を受けている協会と、民間企業が同列に入札に参加する事自体に問題が有ります。)

 

 

例えば、私の地元の京都の『交通安全協会』を例に挙げますと、過去数回民間業者が参入しようとした事がありました。

 

免許の期限が近づいている事を知らせる『更新通知業務』に参入すべく入札に参加しましたが、協会側が極端に低い単価(1件当たり58.8円)で入札。これは、外部監査人により『赤字受注』と批判を受け、実際の計算でも数人分の人件費が赤字になる事が分かりました。

 

過去に於いて、神戸での安全運転講習を外部のコンサルティング会社が入札にて勝利した事はありましたが、かなり稀なケースで、多くの場合は随意契約で『交通安全協会』が受注している状態なんです。

 

 

 

では、更新時に支払う『交通安全協会への入会金』は実際に交通安全の為に使われているのでしょうか?

 

 

これについて、元兵庫県警免許課に勤めていた飛松 五男氏は『JNN報道特集』のインタビューでこう答えています。

 

『5年在職で数千万の退職金が支払われている。兵庫県の場合、235人の職員の内、120人は警察官の天下り。』

 

『予算の8割は人件費に充てられ、実際、交通安全の活動の為に使用されるのは2割しかない。』

 

 

 

 

当然ですが、免許の更新業務は誰かがやらなくてはなりません。

 

問題は、『交通安全協会』が随意契約で独占的に受注している事。そして、加入金の徴収方法にあります。

 

 

多くの真面目に勤務している警察官は『天下り』のチャンスすらありません。

このようなポストは上層部に独占されているからです。

 

私達が、『交通安全の為に』と善意で支払ったお金は、その多くが天下り職員への給与として消えて無くなります。

現在、その徴収法はかなり改善されてきてはいますが、地域によっては依然、詐欺曲がりの方法が取られています。

 

私達が、当たり前に支払っている更新手数料においても『随意契約』が蔓延している現状では変化を期待するのは困難です。

免許はICチップが埋め込まれるなど進化してますが、手続きはもう何十年も変わっていないのです。

 

 

自動車業界に居ると、行政の問題点がそこら中に存在する事が分かります。

税金の問題もそうですが、管轄する国土交通省や警察庁などにも様々な外郭団体が存在し、そこから『旨い汁』を吸おうとする人間達が居て、消費者がそのコストを負担する、という構図が至る処で見られるのです。

 

 

おかげで、日本でクルマを所有するのはかなりのコストが必要になりました。

これでは、業界が廃れて当然です。

 

この現実を変えない限り、状況の悪化に歯止めは掛かりません。

今、自工連の豊田会長が必死に問題提起を行ってますが、抜本的な改革こそが今、必要なのです。