クルマ屋の仕事をしていてもなかなかお目に掛かれない『テスラ』ですが、最近その『モデルS』を運転させて頂ける機会を頂きました。
と言っても、実際運転した距離は僅かで、10分も掛からない距離でしたので、クルマ自体の評価をするには全然足りません。
今回は、そんな試乗で感じた事についてお話していきたいと思います。
第一印象ですが、『デカイ!!』。
アメ車全般に言える事ですが、『モデルS』も例外では無く、全長×全幅×全高で4970㎜×1959㎜×1440㎜とかなり堂々としたボディとなります。
恐る恐る乗り込もうとすると、ここで悪戦苦闘。
触れるとドアノブが出て来る構造ですが、嫌われているのか、出てきてくれない…。
やっとの事で乗り込むと、室内はかなり広い。
アメ車の場合、車体の大きさから広い室内をイメージする方が多いと思いますが、実は外観と違って、それ程広くない印象を受ける場合が多いです。
昔、『ハマーH2』というバカデカイ車がありましたが、あれなんか典型でした。
まぁ、このクルマの場合はスペアタイヤを室内に設置するという『暴挙』の為、とも言えますが、外観の印象からは中は驚く程は広く無いんですね。
(おまけにゴム臭いですし…。)
空間設計からすると日本の軽自動車の偉大さが分かります。
話が大きく逸れてしまいました…"(-""-)"
ドアを開けると既に『電源』が入っている状態で、エンジンを掛けるという儀式は必要ありません。
中に入って強烈なオーラを発しているのが、インパネに設置している17インチディスプレー。
とにかく場違いに目立ってます…。
(こうやって画像で見ても、何か合成写真のような違和感がありますよね。)
実際に運転をしてみると、当たり前ですが静かそのもの。
エンジンが無いので当然だが、ロードノイズも完璧に遮断されていて、ロールスロイスに乗っているような印象。
あと、特筆なのはその『加速力』です。
R35のGT-Rを初めて乗った際も凄いと思いましたが、こちらはそれ以上。
まさに『強烈』というか、完全に未体験の加速が継ぎ目無く発生して、どんどんクルマを前に押し出して行きます。
室内のスイッチ類もメルセデス製の物を使用している為、高級感は十分で、質感は良い意味でアメ車ぽく無く非常に好印象でした。
『テスラ』と言えば『オートパイロット』という自動運転?機能ですが、今回は時間が短かった為、試す事は出来ませんでした。
今回、初めてテスラに乗ってみたのですがEV車に対する印象が大きく変わりました。
意外とハンドリングも良く、『クルマ』として良く出来ているんです。
素直にビックリして本当に良いクルマだな、と思いました。完成度はかなり高いと言えます。
短所に関しては、やはりこの大型タッチパネルを含めた操作性。
完全にタブレット端末なんですが、操作性が悪い。
これは、もう最悪と言って良いレベル…。
ボタンやスイッチなら感覚的に行える作業が行えず、絶えず長時間の視線の移動を要求され、もはや運転中の操作は危険なレベルと言えます。
いつも言う事だが、『先進的な装備を搭載するクルマは、未来的な操作法が必要』みたいな設計者のエゴが出過ぎて、利便性が完全に無視されている事に違和感を感じてしまいます。
あと、今回試してないですが充電時間ですかね…。
ただ、今回試乗してみて思った事はクルマの『コモディティ化』に関する問題。
これは、トヨタの豊田章男社長が常々言っている、
『クルマをコモディティ化させちゃダメだ!!』
という意味が若干ですが分かった気がします。
『コモディティ化』というのは『同質化』とも言いましょうか、メーカーや製品の性能とは無関係に、どれに乗っても同じ、という感覚を指します。
本来、クルマの印象はエンジンと足回りで大きく変わります。
しかし、エンジンが無くなりモーターになってしまうと、トランスミッションも必要無くなる訳で、どれに乗っても同じような加速感や特性を感じてしまうんじゃないかという危惧が生まれてしまいます。
実際にエンジンと比べると『味付け』の部分で淡泊というか、差別化が難しいのです。
これは時代の流れですので、決して贖う事が出来ないのですが、クルマの『個性』と言う部分で、発揮するのが難しく、より単一的な方向に向かうのでは無いかと思ってしまいます。
となると、今までとは全く違う『価値基準』を生み出さなければメーカーは生き残れませんが、それをどこに求めるかは、まだ見えていないと言うのが現状だと思うのです。
EV車や自動運転という時代の中で『コモディティ化を防ぐ』というのは一つの大きな課題だと言えます。
現在、クルマは『所有から利用へ』とは良く言われますが、クルマ好きとしてはやはり所有に拘りたいのです。
ただ、そこに愛着を求めるのであれば無機質なものであってはなりません。
この先、クルマがどう変わって行くか?
愛すべき対象で居続ける事が出来るのか?
まさにそれこそが問題なのです。
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