最近、様々な生産・労使問題に苦しむテスラですが、『ビジネス・インサイダー』が取得した内部資料によると、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏が出荷前に行っていた最終テストに関し、その工程を取り止めるよう指示を出していた事が発覚しました。
今回、取り止められた試験は、『ブレーキ&ロールテスト』と呼ばれる、クルマが正しく組み立てられているか、という確認作業です。
これは、クルマの性能と品質を確認する為に全ての自動車メーカーが行っているものです。
今回テスラが発売した『モデル3』は、高級路線を敷いてきた同社にとっては初の『手の届く』EV車として注目を浴びています。
既に40万台以上のバックオーダーを抱え、順調の受注を成し遂げた同社ですが、その生産に関しては多くの問題を抱えていました。
CEOのマスク氏が立案した週間5000台の生産計画は、長い間達成が危ぶまれており、度重なるトラブルにより、彼自身工場に泊まり込みながら指揮を行うまで追い詰められていました。
その原因は度重なる巨額投資による現金の枯渇でした。
巨額の赤字に苦しむ『テスラ社』にとって、モデル3から得るキャッシュは言わば生命線とも言えます。
今回の決定は、マスク氏が生産計画を達成する為に品質を犠牲にしたのではないかという憶測を呼んでいます。
現在、『世界一の経営者』と言われるイーロン・マスク氏ですが、少し急ぎ過ぎる感は拭えません。
彼は、宇宙開発と自動車革命を同時に行おうとするバイタリティーの持ち主であり、その能力を疑う者はいません。
ただ、あまりに早急に物事を進める手法に対し、労使間での歪みを生んでいるのは最早隠し切れない状況です。
私自身、今やGM社をも抜く時価総額を達成した『テスラ社』と、イーロン・マスク氏の実力に関し、その成功は間違いないものと感じています。
ただ、今が正念場である以上、同時に慎重さが必要なのも事実です。
詰まらい事で足を掬われないよう着実な前進を願って止みません。
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