今、中国や欧州諸国を中心とした急激な『EV化』の波が押し寄せています。
特に、ディーゼルの排気ガス不正問題でダメージを受けた欧州自動車メーカーは、強制的に退路を断たれた形となり、そのスピードに拍車を掛ける事となりました。
中国では、政府が主導する形で新興自動車メーカーが次々と誕生し、今や全世界のEV車の40%が中国に存在する、というEV先進国に踊りでたのでした。
一方において、我が国『日本』を見てみると、その対応の遅れを感じずにはいられません。
私が個人的に不安を感じるのは『雇用問題』です。
EV車はエンジンやトランスミッションという複雑な要素が必要無くなる為、ガソリン車と比較した際の部品数は約半分で済んでしまいます。
少々乱暴な言い方かもしれませんが、部品が半分で済むという事は、人員・下請け企業も半分で済むという事です。
実際、現在生産台数で世界一の座にあるフォルクスワーゲン社は全世界で3万人の人員削減を決定し、生産システム再編に動き出しました。
一方、我が国に目を移すと、この『スリム化』とは正反対な現実があります。
元来、日本企業はトヨタの『カイゼン』に代表されるような効率的な生産システムを採用する事により、他社には真似出来ない『利益率』を達成し、それが日本メーカーの『強さ』の源泉でした。
ただ、ここに来て一転苦しい立場に追い込まれる可能性が出てきました。
この先、明らかに日本の自動車メーカーは『定員オーバー』な状態に追い込まれていきます。
この事は、コストを増大させ、意思決定を遅らし、そして、最終的には競争力をも削いでしまうのです。
これは、自動車メーカーに限った話ではありません。
AI(人工知能)の活用が積極化すると、初期の段階では部門間の人員移動で対応出来ますが、最終的には『削減』という方向に行かざる負えません。
となると、日本の雇用システムは近い将来大きな変革期を迎える事は、ほぼ確実です。
現在、AI化によって自分の仕事が奪われる、という話を良く聞きますが、それをリアルに感じている人は、まだまだ少ないと言えます。
今の状況は、企業のアウトソーシングが始まった15年程前の状態に似ています。
企業は自社の『非生産部門』を競うように外注し、多くの経理部門やコールセンターを中国の大連を始めとする人件費の安い国へと委託しました。
結果的に派遣社員と言われる『非正規社員』が増加し、今や全体の40%を超える人数まで急激に増加する事になります。
今後10年で、同じような事がもう一度起こるのではないかと、私は考えています。
それも、そのスピードはかなり急激に進行すると思います。
その時に準備が出来ていないと必ず『振り落とされる』事になります。
豊田社長の言う『生きるか、死ぬかの戦い』、その覚悟は皆さんはお持ちでしょうか?
弱小自営業者の私も、何とか生き抜いて行けるよう腹を括りたいと思います。
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