自販機王国と言われる日本。
相手の年齢や性別を機会が判断して商品の表示順を変更するなど、ハイテク自販機が町中に溢れています。
しかし、現在アメリカ、シンガポール、中国などでは『車の自販機』が急速に拡大しています。
無駄な人件費やサービスを省き、ネットを活用して安くクルマを販売するこのシステム。
果たして、規制でがんじがらめなこの国で真似出来るでしょうか?
世界中で初めてこのビジネスを考案したのは、アメリカの『Carvana社』。
それもテネシー州のナシュビルという田舎で2015年に産声を上げました。
当時のアメリカの中古車市場の年間販売台数は4500万台。しかし、同市場の最大プレイヤーであるCarMax社のシェアはたったの2%しかない。にも関わらず同社の評価額は120億ドルにのぼりました。
そう、とてつもなく『儲かる市場』だったのです。
『Carvana』はこの市場にIT技術を持ち込み参入を果たしました。
そのシステムはこうです。
中古車の購入を検討しているユーザーは『Carvana』のサイトを訪れ、自分の好みにピッタリの1台を探します。
在庫量は数万台に及び、全てのメーカー、価格帯を網羅しているのです。
このシステムでは価格交渉は出来ませんが、市場価格より約1000ドル安い価格設定が行われており、実際に他社の商品と比較する事が出来ます。
ローンなどのファイナンス面、諸々の書類のやり取りもネット上で完結する事ができ、ユーザーは納車の準備が出来次第、自宅まで陸送を依頼するか、自販機で自分でピックアップするかを選ぶ事になるのです。
自販機にて自分でピックアップする事を選択すると同社から大きな『コイン』が郵送されてくる。
文字通り自動販売機よろしく、コインを入れれば自分のクルマが出てくる仕組みとなっているので、その辺りは動画で確認して欲しい。
同社は現在全米に展開中ですが、シンガポールでは超が付く『高級車』が2分で買える自販機、そして、中国ではアリババ・グループが新たに同様の展開を始めています。
(アリババではサイト立ち上げ、僅か75秒で高級車288台が完売。話題になりました。)
『クルマの購入を自販機でなんて・・・・。』
確かに高額商品ですので、人を介さずに購入するのは抵抗があるかもしれません。
しかし、実際に私がサラリーマンだった頃に勤めていた店では月の販売台数の半分は、実際にクルマを見ずにメールのやり取りだけで購入するお客さんでした。
この『自販機システム』は、気に入らなかった際の『返品』へのハードルを下げる事により、気軽に買って貰えるシステムを構築しました。
また、アリババ・グループが始めたシステムは3日間自由に試乗ができ、気に入ったらそのまま購入。駄目なら返却と、かなり自由度が高いシステムとなっています。
日本では、この『返品』という事にかなり高いハードルを設けています。
『返品可能』と謳っている店でも、実際に行うと数万円という手数料を徴収される事が多いのです。
以前にも少し触れましたが、日本の自動車業界はイノベーションとは無縁の世界です。やっている事の本質は20年以上何も変わっていません。
逆に言えばチャンスに溢れた市場だとも言えますが、行政が大きく関わってくる分『お役所仕事』が膨大で、それがイノベーションを阻害している面は否定出来ません。
この先、この業界が発展して行くには『規制緩和』が不可欠です。
この事に関してお話すると、かなり長くなってしまいますので次の章に廻したいと思います。
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