最近、メーカーの新車発表会が変わりつつあります。
冒頭の写真ですが、今年1月に行われた『東京オートサロン』の画像です。
写っているのは『新型クラウン』のTRD バージョンですが、発売日は今年の夏頃を予定しております。
5月下旬から予約は開始しておりますが、実際に一般のユーザーが現車の確認・試乗が出来るのは夏頃の発売日まで待つ必要があるのです。
このように、現在は新車の発表から発売までの期間を半年くらい開ける手法が広く採用されるようになりました。
このような手法は『クラウン』に限った訳ではありません。
最近では、『スバル・レヴォーグ』『トヨタ・CH-R 』『ホンダ・シビック』『マツダ・CX-8 』『日産・リーフ』など、ほぼ全てのメーカーがこの手法を採用しているのです。
各社、発表日と発売日の間に半年位の間を開ける事が常態化しており、実は今、この事が我々の頭の痛い問題になりつつあるのです。
一番の問題は、現車の発表が早すぎる為に旧モデルが売れなくなる、もしくは必要以上の値引きを要するという事です。
これは顕著に現れます。以前までは情報としては出ていましたが、現車の映像が出る訳ではありませんでした。
はっきり言ってこの差は想像以上に大きいです。実際に新型の映像が出てしまうと、旧モデルは急激に陳腐化してしまうのです。
一方、消費者側は2者択一が求められます。
すなわち、現車を見ずに予約を入れるか、発売を待って長期の納車期間を耐えるか?という選択です。
以前は、新型の発売が始まる時には、必ずショールームには現車と試乗車がありました。
しかし、この手法では予約時には現車はありません。決定的に情報不足なのです。
メーカーはこれを補填する為に『プロトタイプ(試作車)』の段階でマスコミに公開し、試乗をさせ、『試乗記』という形でメディアに登場します。
しかし、これはあくまで『プロトタイプ』であり『商品』ではありません。まだ未完成なのですから。
また、その記事に関してもメーカーから謝礼の出る『広告記事』なのか、純粋な『試乗記』なのかを判断する術は消費者にはありません。
このように、この手法には販売店と消費者には何のメリットも存在しません。
では、なぜこのような事が起こるのか??
それは、メーカーにとっては生産計画が作りやすいのです。
予約受注開始から販売までの期間を2~3か月設ける事で、そのクルマが大体年間に何台売れるか?という事が予想し易くなります。
また、売れ行きグレードやオプションを把握出来れば、部品の発注などにも無駄が無くなりますし、大量の受注を貯めて、一気に生産をする事で生産効率も上がります。
結果的に利便性を犠牲にして生産効率を優先する事を選択したメーカーですが、数百万円の商品を扱うには少々対応が『雑』な気がするのは私だけでしょうか?
私の場合は中古車がメインですので、それ程影響は無いと思う方も多いと思いますが、この事は中古車相場にも大きく影響を与えています。中古車の仕入れ値が変わるという事は、当然ですが、皆さんの下取値や、クルマを売った際の価格にも影響を与えます。
仮に、新型車を買うのに旧型車を下取りに入れる契約の場合、その追金額は確実に大きくなるのです。
時代の過渡期を迎え、メーカーもなりふり構わず生き残りを掛けてる印象があります。この先、ディーラーの統合など我々の業界にも激しい波が押し寄せる事は必至です。
我々も今まで以上にしたたかに戦略を立てて行かなければ、生き残れな時代なのかもしれません。
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