私、クルマの業界に携わって20年が経ちますが、実は一回も新車を買った事がありません。
これは、私だけでなく中古車に関わる仕事をしている人では珍しい事ではありません。
私達にとって、『新車を買う』という事は、それ程有り得ない事なのです。
その理由は『税金』です。
新車って、酒とかタバコと同様、税金の塊なんです。
消費税、自動車取得税、重量税、自動車税。
新車の見積もりを貰うと、これに数々の手数料が加わり車両本体価格以外に40万円程のお金を取られてしまいます。
一方において、中古車市場を見てみると走行数百キロの中古車が格安で、また諸費用も半分位で買える訳です。
ですので、実際にクルマを新車で買うのは新車ディーラーの営業マン位だと言っても過言ではありません。
表題の件ですが、自動車メーカー14社で構成される自動車工業会、通称『自工会』が車両価格180万円のクルマを13年間使用した時の維持コストが算出、公表されました。
その結果は何と170万円。。。
(230万円と試算するシンクタンクもあります。。。)
この数字は、イギリスの2.4倍、ドイツの2.8倍、そして、アメリカに於いては31倍のコストが掛かっている事になります。その上、ガソリン税など、法律で禁止されている『二重課税』が長年において放置されるなど、未だに『贅沢品』としての位置付けがされている事が分かります。
しかし、60、70年代なら未だしも現代において自動車は必需品です。
地方に住んでいれば、クルマ無しの生活なんて成り立たないのですから。
実際問題、現在の国の税収のうち自動車に関連するものの総額は9兆円に迫る勢いです。
全体の税収が60兆円程のこの国に於いては『税の公平性』を著しく阻害している状況だと言えるのです。
当然ですが、このような状態は経済的に不安定な若者世代に大きな影響を与えます。
最盛期に於いて年間778万台を販売した自動車メーカーは昨年では523万台と急激な市場の収束が起きているのです。
この事に国内外の需要の※ミスマッチが影響して、トヨタなどは国内の販売車種を半分にまで引き下げるという方針を既に発表しています。
(※ 国内で人気の軽自動車・ミニバンと、主に北米を中心とする輸出向けで人気のSUV、及びセダンと。国内、輸出向けでそれぞれ人気車種が異なる為、メーカーはスケールメリットを享受し難い体質になっています。)
また、暗い話ばかりで恐縮ですが2重課税が問題になっているガソリン税において、且つては『トリガー条項』なるものが存在しました。これは、原油価格に関わらずガソリン価格が160円/ 1L を超えた場合(3か月の平均価格で)は、ガソリン税の税率を半減させ、その価格を調整するというものです。
しかしながら、東日本大震災の復興費用捻出の為、この条項は一時的に凍結され、現在に於いても”なぜか”その状態は変わっていません。その為、現在ガソリン代は『天井知らず』の状態となっているのです。
自動車業界に関わる者として、書いてる自分が落ち込むような状況ですが、果たして私は死ぬまで今の仕事を維持できるのでしょうか。。。。
かなり悲観的に成らざる得ない状況ですが、少しずつ逃げる準備を始めようかと思い始める今日この頃です。。。
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