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日産GT-R、スーパーカーの常識を変えた唯一無二な存在。

 

 

日産GT-R。言うまでもなく日本が誇るスーパーカーであり、その暴力的とも言える加速は0-100mを僅か2.9秒を走り抜けます。

 

かつて。『スカイライン』の1グレードとして登場した同車は、経営危機に陥った日産の復活の象徴として、新たな役割を担う事になったのです。

 

 

 

 

『GT-R』はスーパーカーとしての常識を覆す唯一無二な存在と言えます。

ヨーロッパを中心に様々なメーカーがこの市場に参入していますが、他のメーカーとは決定的に違う点が2点存在するのです。

 

 

 通常の生産ラインで組み立てられる。

 

GT-Rの生みの親は水野和敏氏。

 

日産再建を請け負ったカルロス・ゴーン氏から与えられたミッションは1000万円で買えるスーパーカーを作る事でした。

その上で、特殊な運転技術を要さず、誰でも安心して乗れる事が重要だったのです。

 

通常のスーパーカーと言われるクルマの値段は2000~3000万円が主流の中、その半分から1/3のコストで作るには、他社のような手作りの特別なクルマでは無く、通常の生産ラインでの組み立てが必要だったのです。

 

これは、実は大変な事なのです。

 

通常、ハイスピードで走行するスーパーカーは全ての部品に大きな負荷が掛かります。

 

時速300㎞で走るクルマをラインで大量生産するには、通常の手作りで1台1台製造されるスーパーカーと比べて3~4倍の部品の精度が要求されるのです。

 

GT-Rは現在『日産栃木工場』で組み立てられていますが、そこでは通常の『フーガ』や『スカイライン』と言った一般車に交じって7台に1台という間隔で『GT-R』が流れてきます。決してGT-R専用のラインがある訳ではないのです。

 

そこで、1台60時間という短時間でGT-Rは作られるのです。

 

 流線形では無く角ばったボディデザインを採用。

 

スーパーカーと言えばフェラーリなどに代表される流線形のデザインを思い浮かべると思います。空力面などを考えると、ある意味セオリーに反しているとさえ言われました。

 

その上、座席は4シーター、トランクはゴルフバックが入る程大きい。

 

通常スーパーカーはその美しさから『女性』に例えられますが、GT-Rは違います。まさにマッチョな『男性』なのです。

それは、ある意味正反対のアプローチとさえ言えます。

 

ただ、一方においてそのデザインは徹底的に空気力学に基づいています。

 

四角いクルマは空気抵抗が大きいと考えがちですが、それは間違いなのです。

 

厚木にある『日産テクニカルセンター』では、最新の空力実験装置を用いて、時速300㎞で走った場合の空気の流れを徹底的に解析しました。その結果、空気抵抗を表すcd値では0.26という優れた数値を叩き出したのです。

そこで得られたダウンフォースはコーナーリングでの優れた旋回性能を生み出したのでした。

 

 

発売当初は777万円というスペシャル・プライスを実現したGT-Rですが、その後の性能の向上により1000万円を超える価格帯になりました。しかし、世界的に見てもこの性能のクルマが1000万円程で手に入る事は不可能に近く、まだまだ価格競争力を有しています。

 

 

このクルマの好みはデザインで分かれると思いますが、製品としての完成度、信頼性は他国のとれと比べると非常に優れていると言えます。実際、フェラーリなどは部品の調達に数か月など頻繁に起こりますし、その値段も群を抜いてます。

 

GT-Rの場合は、整備出来る専用工場は限られるという面はありますが、維持費などを考えると世界的に見て、非常に魅力的なクルマと言えるでしょう。

 

頻繁にモデルチェンジを繰り返す日本車の中で、GT-Rはじっくり時間を掛けて『熟成』を繰り返してきました。水野氏が抜けた日産でこの先、このクルマがどのように進化して行くのか、期待と不安を持ちながら見守っていきたいと思います。