テスラなどの新興企業に押されてクルマのEV化に於いて、大きく遅れをとった感のある日本勢ですが、ここにきて大逆転の目が出てきました。
キーワードはFCV、そう"燃料電池車"です。
コンサルティング会社である『KPMG』が、907人もの業界主要各社の幹部にアンケートを取ったところ、2025年までの間、燃料電池車(FCV)の製造に関する話題が業界の主要トピックになるという結果が出ました。
ちなみに、アンケート結果のBEST5は以下の通りです。
1. 燃料電池車(FCV)
2. コネクティビティとデジタル化
3. EV
4. ハイブリッド
5. 新興国市場の成長
電動化モデルについてのトピックが3つも入っているのが特徴的ですが、繋がるクルマ(コネクティビティ)を含め、そのセキュリティに関する点の注目のが高いことが分かります。
ただ、意外だったのが燃料電池車が1位に輝いた点です。
業界の勢力図という観点から見ると、この分野はトヨタがトップを走っており、その後にホンダが進んでいると言われています。
基本的に、燃料電池車は日本、欧州のメーカーが注力しており、アメリカ、中国はEVに重点を置いているという構図になります。
欧州メーカーがこの分野に関心を持つのはアウトバーンの存在が大きく関わっています。
現在においても一部の区間は制限速度の設定が無いアウトバーンでは速度帯が速く180㎞前後の走行が通常化しています。
しかし、EVにおいてはこの高速での速度帯が非常に弱く、急激に電気を消費してしまうという構造的欠点を抱えているのです。
この問題をクリアする為に欧州メーカーが目を付けたのがトヨタが開発した燃料電池車です。
FCVのメリットは、給油!?の早さに有ります。つまりガソリン車と同様、液体水素を注入する事により即走り出す事が出来るのです。この実用性の高さが一番の魅力と言えるでしょう。
一方、充電時間の長いEV車は一部の意識の高い層のセカンドカーとしての需要はありますが、ファーストカーとするには問題があります。必要な時に、必要な所まで行ける、という車が持つべき最低限の条件を満たしていないのです。
特に欧州メーカーの経営陣の発言を見ていると、FCVこそが最善の解決法と思ってる節があります。実用化の面では大きく遅れをとっているFCVですが、ここにきて、将来ある一定数の需要を獲得する可能性が出てきた訳です。
そうなると、この技術で断トツの技術力と特許を持っているトヨタの優位性が明確になります。これは、まさにトヨタにとっては一発逆転のシナリオなのです。
現在FCVの抱える問題点は、そのコストと安全性の担保です。ただ、これは全ての技術に当てはまる事でありEVも同じ道を辿ってきた訳です。
量を作る事が出来ればコストは下がりますし、安全に関してはかなりのレベルを既に達成しています。その為、これからの課題は『普及』です。どれだけのメーカーが関わるかという事が非常に重要になるのです。
さて、何やら興味深い動きが起きてきましたが、この先の業界の覇権はどうなるのでしょうか?
また、今回はハード面に関してのみお話してきましたが、自動運転などの"ソフト面"もかなり重要です。この辺りはアメリカが依然強い印象を受けますが、この先、自動車業界の先行きを興味深く観察していきたいと思います。
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