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メーカーが本気で殺しに来る…!?

 

自動車メーカーと言えば、どこも大企業ばかりですので、私達、零細企業相手に大人げない事はしないよね…、と言いたいとこですが、今日はそんなメーカーさんを怒らして取引停止に追い込まれた我が友人のAさんのお話です。

 

 

このAさんはモータース屋さんの2代目なんですが、本業はいわゆる『廻し屋』さんです。

『廻し屋』とは中古車の『背取り』みたいな物で、オークション会場間の価格差を利用して〇会場で仕入れたクルマを▲会場で売って、差額を儲けにする職業です。

オークション間でクルマを廻す為、通称『廻し屋』と呼ばれています。

 

 

通常は、中古車を廻すのですがクルマによっては発売間もない新車を購入し、即オークションに出すと凄く儲かる事があります。主に輸出向けのクルマなんですが、落札価格が新車価格+50万円とかで普通に売れるんです。

 

ならみんなやれば儲かるじゃん?、と思うかもしれませんが車種の選別とオプション、それに時期が非常に重要になるんです。タマ数が少ない内に出さないと意味がないですし、そうなると、発売の3か月前とかに発注しないと遅い訳です。

 

その為、ある程度の経験とギャンブル性が必要なんですけど、上手く行くと、まさに『濡れ手に粟』の商売で半月で2.300万円とか儲かると止められなくなります。

 

ただ、この『新車のオークション出し』に対しては結構メーカー側の締め付けが厳しくて、クルマ屋の人間って言うだけで、発売後しばらくの間は売ってくれなかったり、オークションに出さない旨の誓約書を取られたりと、色々あるんです。こちらも友達や親の名義で代わりに買って貰ったり、と策を練って『イタチごっこ』を繰り返す訳です。

 

 

 

 

そして、今回ついにAさんが『殺られた…。』そうです…。

 

オークション出した途端に車体番号から購入者を調べられて、『メーカー取引の禁止』、いわゆる『出禁』ですね…。

遂にメーカーも本気で怒ったようで、一発でレッドカード出された模様です…。

 

ちなみにAさんの家はそのメーカーのサブディーラーで、店にはメーカーの大きな看板が…。

お父さんが顔面蒼白で激怒したそうです…。

メーカーからクルマ仕入れられなくなったら、仕事になりませんからね。

 

ただ思うのは、自動車業界はなぜか自動車メーカーの力が絶大なんです。

 

大概は他の商品だと小売り側が力を持つんですけど、自動車業界は参入障壁が高くて事実上、国に守られた業界の為でしょうか、ちょっと新しい事をしようとすると、

『そんな事すると、売ってやらないよ~!!』とメーカーから圧力が掛かります。

 

だから、未だに様々なメーカーのクルマを扱う新車量販店は存在しません。これは仕入れをディーラーからしか行えない為、価格競争力を捥がれてしまう為です。

 

ただ、EVの時代になると参入障壁が下がり、健全な競争関係が生まれるかもしれません。とにかく今の環境は歪でダンピングと言われてもしょうがない状況です。

 

これに一番被害を受けるのは消費者です。購入の際は何件もディーラーをハシゴして、長々と商談させられる…。

本来は『テスラ』みたいに適正な定価があり、ワンクリックで済むべきだと思います。

 

値引きを無くすと、どこで買っても同じという事になり、今のディーラー・システムを維持出来なくなるのです。

 

とにかく、一刻も早く健全な競争が出来る時代になる事を切に望みます。