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渋滞解消は『蟻』に学べ !?

 

 

仕事上、他の人より車に乗る機会の多い私にとって渋滞は非常に頭の痛い問題です。これにより1日の予定が台無しになりますし、酷い時は1週間の予定変更まで迫られます。

 

 

渋滞の起こる原因は様々ですが、自然渋滞に限定してお話すると、原因は『車間距離』だと言われています。

 

 

上り坂などでスピードの落ちたクルマの後続車が、車間距離が短いが故にブレーキを踏み、それが連鎖する事で数キロ後ろでは渋滞が発生するという仕組みです。

 

 

このような事から、私は常々、『皆がMT車に乗れば渋滞が緩和される説』を唱えてきましたが、今回、ある学会で、ある意味画期的な案が提唱されましたのでご紹介したいと思います。

 

 

 

 

この渋滞緩和策を提唱したのは、東京大学の『先端科学技術研究センター』の西成活裕氏です。

 

 

彼の理論はズバリ『蟻に学べ』です。

 

巣に向かう為に大行列を構成する『蟻』の行列は決して渋滞する事はありません。

これは、彼らが前者との間隔を決して詰めない事が要因だと発見した西成氏は、それを渋滞緩和に応用出来ると確信しました。

 

 

 

具体的にはこうです。

 

元来、後続車両が車間距離を十分に保っていれば渋滞は起こりません。

 

また、渋滞が起こった後でも、渋滞に近づく前にスピードを抑え(スローイン)、渋滞を抜けたら速やかに加速(ファストアウト)、を行う事で効率的に渋滞を解消できる事を発見したのです。

 

 

 

JAFと警視庁の協力で、実際の高速道路で実証実験を行った結果、渋滞に到達する5分前からスピードを10㎞落とす事で、解消出来る事が分かったのです。

 

その為に、100台に1台の割合で『ペースカー』を走らせる事で全体のスピードをコントロール出来る事が実証されたのです。

 

 

現在、西成氏はこの『ペースカー』の役割を自動運転車に任せられないか、と考えています。

 

 

過去、渋滞のメカニズムは分かっていましたが、効果的な解消法は示されてきませんでした。

今回の実験では実際の発生した渋滞を効果的に解消出来る事を証明した他に、自動運転車の新たな活用法が提唱されました。

 

渋滞は利用者の疲労を高め、事故率を上げる事は勿論ですが、物流という面においても多くの経済的損失を与えます。その解消には大きな価値があると言えます。

 

 

西成氏の提唱する自動運転車の活用は、もう少し時間を要しますが、車間距離を空けるといった事は今すぐにも各自が行える事です。

 

まずは出来る事から、そう言った意識が必要なのではないでしょうか。