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変化する自動車業界と変われない日本メーカー。

 

 

日本では本当の意味でのクルマの『量販店』は存在しません。各ディーラーは自分の系列の決まった車種だけを売るという時代錯誤なやり方を、もう70年以上変わらずやっています。

 

はっきり言ってこれほどイノベーションの存在しない業界は他には無いと断言できます。

 

なぜ、消費者は怒らないのでしょう??

別に損している訳じゃないし・・・・。って考えている方もいると思いますが、それは大きな間違いです。

 

なぜなら、このバカげたシステムを維持するコストは消費者であるあなた方が負担しているのですから。。。。

 

 

 

 

私の子供時代、町には沢山の『町の電気屋さん』が存在しました。

各お店は『松下電器』や『ソニー』など系列に分かれ商品を販売していたのです。

 

時代は移り変わりヤマダ電機などの『量販店』が街に溢れだします。大規模で安売りを旨とするそれらの企業の台頭により、大きく業界の地図は変わって行きました。

 

 

一方、我が業界の『自動車』を見てみると、相変わらずの『系列販売』を行っています。

一部に『新車量販店』というものは存在しますが、あれは本当の意味では違います。

なぜなら、商品を『ディーラー』から仕入れざる負えないからです。その為、販売価格に制約を与えられ健全な競争を阻害されているのです。

 

 

バブル期の778万台という年間新車販売数から見ると、現在の販売数はその7割もありません。

 

ただ、ディーラーの数は変わっていない以上、それに要する流通コストと人件費は変わりませんので、そのコストは商品に上乗せされます。

 

また、以前『なぜ新車はネットで売れないのか?』という記事を書きましたが、このネット全盛時代でも未だにアナログな『手売り』に徹してるのが我が自動車業界です。

 

イノベーションを起こせないなら、衰退するのは当然です。

 

 

原因としては自動車が国を代表する産業である為、メーカーの力が不当に強すぎるのです。

各メーカーは意図的に販売チャネルを制限して値崩れを防いでいます。

しかし、これは明らかなダンピングだと言えます。

 

 

私自身、数少ない『新車量販店もどき』で働いた経験がありますが、商品は必ず『系列ディーラー』を介さない限り仕入れる事は出来ません。ちなみに『レクサス』においては、仕入れすら出来ない状況です。

 

 

 

 

その為、消費者は新車を買いたいなら『系列ディーラー』に行くしかありません。

 

仮にトヨタとホンダを比較したいと思うなら両方のディーラーを訪問してカタログを入手するという不毛な行動を強いられます。

 

また、クルマの説明を受ける際も営業マンの『しがらみ』が強すぎる為、クルマのネガティブな情報を聞く事は出来ません。

 

しかし、量販店は違います。

 

しがらみが無い分、より公平な情報をお客さんに伝える事が出来ます。

実際、クルマの商売をしてると新車でもクレームの多い車種は存在します。その多くは、どこどこが壊れやすい、どこからか異音がする、と言った内容です。

 

営業マンも人間ですから、出来ればクレームの多い車種は売りたく無いんです。ですので、そのような情報は予めお客さんにお伝えします。それでも良いですか、と確認の上で販売すればクレームが起こっても、それ程深刻な状況にはならないからです。

 

 

このように、現状のシステムでは消費者はそのクルマの正確で公平な情報を得る事は出来ません。そればかりか、そのバカげたシステムを維持する為のコストまで負担させられているというのが現状なのです。

 

なぜか?、メーカーの利益を保障する為に他なりません。

(しかも、それはクルマを買った後、今度は『整備・メンテナンス』という形で搾取が始まります。ディーラーでの整備費用は通常の整備工場より3割前後高い事は周知の事実です。)

 

 

『クルマは高い買い物だから人から買う方が安心』、そう思われる方も居ると思いますが、それは間違いです。

 

クルマの品質を担保するのは営業マンではありません。それはメーカーの仕事なのです。

 

 

この先、日本でのクルマ離れは益々加速するでしょう。

販売数が減少すれば、新車1台当たりの流通コストは上昇します。

そして、それを負担するのは皆さん消費者なのです。

 

もう、そろそろこの業界も変わらないといけません。そして、その原動力となるのは『お客様の声』に他なりません。

悲しい事ですが、この業界に自浄作用というものは存在しません。

変わるとすれば、それは『外圧』を受け、それに耐えきれなくなった時です。

 

消費者は確実に不利益を被っています。ただ、その事に意識が行かないだけなのです。

消費者はもっと怒るべき、私はそう思います。