耳をつんざくようなエンジン音と、あっという間に過ぎ去るスピード感、モータースポーツの醍醐味をこう表現する方も多いと思います。実は、私もその一人でF1の黄金期、セナにマンセル、プロストと言ったヒーロー達が白熱の戦いを繰り広げるレースに憧れの目で見ていた子供時代でした。
時代が変わりF1、WRCといった人気レースが衰退していく中、最近脚光を浴びだしたのが、『フォーミュラーE』です。
このレースで使用されるのは、エンジンの代わりにモーター、ガソリンの代わりに電気を用いたEV車です。
個人的には、あの『音』こそがレースの醍醐味だと思っていましたが、当然ですがフォーミュラーEのレースで、あのような爆音は存在しません。モーターならではのシャープな金属音と空気を切り裂く風切り音だけなんです。
でも、なぜか面白いんです。
このレースの醍醐味は世界各国で繰り広げられる市街地レースです。
レースというと大概の方が『サーキット』を想像されるでしょう。しかし、『フォーミュラーE』では違います。
F1でも伝統のモナコGPなど市街地レースは存在します。
狭い公道の為、壁ギリギリを攻めるマシン。
相手を抜けるポイントが少ない為、非常にテクニカルなコースとしてマニアの間からは知られています。
フォーミュラーEの場合、レースの全てがこの市街地コースを使って行われます。
その為、毎回このヒリヒリするような緊迫感が味わえるのです。
フォーミュラーEが市街地を選ぶには理由があります。
実はフォーミュラーEのマシンは『遅い』んです。最高時速で言うと350㎞を記録するF1に対し、280㎞。これでは、サーキット走行をすると遅さばかりが目立ちます。
その為、スピードが出しにくい市街地コースを選択した訳です。
おかげで、ロンドンやラスベガスの市街をレースカーが走りまくるというエキサイティングな状況が生まれた訳です。
さて、2014年に始まった『フォーミュラーE』ですが、現在過渡期を迎えようとしています。
各企業が開発に凌ぎを削るレース界において、当初『フォーミュラーE』はワンメイク・レースでした。
即ち、各チームが同じ車両・タイヤを用いて争っていたのです。
また、レースの醍醐味であるタイヤ交換・給油などのピット作業もバッテリーの容量の問題でクルマ毎交換する1レース2台使用のルールで行ってきたのです。
しかし、フォルクスワーゲン・日産・ポルシェなどワークス勢の参入が起こってきた事で車両の自社開発が行われるようになるのです。また、それに合わせ、バッテリーの容量を増やし、1台のマシーンで走り切るルールが適用されるようになりました。
また、ワークス勢が参入してくる事により、ドライバーも一流のタレントが集まり始めました。
それにより、益々の盛り上がりを見せるようになってきたのです。
ご存知の通り、自動車の歴史はレースの歴史と言って良いと思います。
レースにより培われた技術を市販車にフィードバックする事で様々な技術が発展してきたのです。
EV車においても、ようやくその素地が生まれようとしています。
ただ、そうなると期待するのが日本での開催です。現在年間14戦のレースが行われてますが、アジアは香港のみ。
ぜひ、日本での開催をして貰いたいものです。それも、我が地元京都で。。。。
神社・仏閣の間をレースカーが駆け巡る、凄い『絵』になると思うんですけどね。。。。
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