中古車業界の持つギャンブル性については今まで色々お話してきましたが、今回はまさに『丁半博打』、ある意味『禁じ手』でもある手法についての話題です。
『新車が定価より高く売れる。』
本来であれば有り得ない話ですが、中古車業界ではある意味普通に起こります。
もちろん、それには『ある条件』が必要なんですが、多くの中古車業者がそれに関わっているのが現実です。
キーワードは『輸出』です。
輸出向けの発表後間もない車種を新車で購入し、中古車オークションに出品。すると、車種によりますが、新車定価+50万円みたいな価格で取引されるのです。これだとまさに『濡れ手に粟』の如く、何の苦労も無く儲ける事が出来ます。
その為、多くの業者は一度に5台、10台と購入し、オークションに流します。
車種的に言うと、以前は『プレミオ』とかはかなり熱い取引がされてましたし、最近では新型『プラド』などが信じられない値段で落札されていました。
なぜ、このような事が起こるのか、というとやはり海外では日本車は人気なのです。特に発売間もない車種を少しでも早く手に入れたいという顧客は存在し、彼らが輸出ブローカーに依頼する訳です。
ただ、これがなぜ『丁半博打』なのかと言うと、そのバブルは突然終わる、もしくは車種によっては始まる事すら無い状況が生まれるのです。
当然ですが、バックオーダーが無くなればバブルは終了です。
その為、1週間で数十万円の暴落も有り得る事で、要は『早い者勝ち』な訳です。
バブルが終わると、当然投げ売りが始まり、それが値下がりに拍車を掛けるという、まさに地獄絵図の始まりです。。。。
(輸出向け車両の場合は『抹消出品』が原則です。ナンバーを抹消する為3年間の車検は無くなります。仮に自分で乗る、もしくは店頭で販売するとなると、改めて車検を受ける必要があります。)
その為、仕入れが遅く逃げ遅れた人は1台に付き数十万の損失を覚悟しなければなりません。
この戦いを制す為には、どの車種でバブルが起きるか、それがどれだけの期間続くか、という事について正確に予想する必要があるのです。
(ちなみに今は現行『プラド』のヒドイ投げ売りが全国のオークション会場で始まってます。下手すると1台100万近い損失が発生してると思われます。)
ただ、通常このような行為はメーカーが許しません。
いくら新車が欲しいと言っても、易々とディーラーは売ってくれないのです。
なぜなら、中古車オークションに出品されると、車体番号からどこのディーラーが販売した車両かが特定されてしまいます。
すると、メーカーから睨まれ、その後の取引に支障をきたす可能性があるのです。
その為、中古車業者は新車を買う『特別なルート』が必要です。
ディーラー側もリスクがある以上、安売りはしてくれません。下手すると一般客以上の値段で買い、税金などの諸費用も払って勝負する事で、よりギャンブル性が高まる訳です。
この『ハイリスク・ハイリターン』な商売も、やはり一度でも美味しい思いをすると止められないんですよね。
私の周りにも結構居ますが、確かに努力なしに1回の取引で100万円とか儲かると、もうクセになります。
ただ、一般ユーザーにとっては良い事です。『投げ売り』された新車はその後、格安で中古車店の店頭に並びますので、それらを狙い撃ちすると、かなり有利な商談に持ち込めると思います。
『プラド』をお探しの方はそういった車両を探してみるのも面白いと思いますよ。
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