自動車業界、特に中古車業界はまさに魑魅魍魎の世界。
事故歴隠し・メーター戻しなど過去に於いて中古車業界では様々な問題が頻発していました。これは『対 お客さん』の話ですが、業者間同士の騙し合いはかなり熾烈です。
私自身、クルマ業界に10年以上在籍していますので、騙される事も少なくなりましたが、過去には様々な痛い目にも合ってきました。今回はそんなクルマ業界の『闇』にまつわるお話です。
昔ほどではありませんが、クルマ業界の騙し合いは日常的に行われています。
中でも、神経をすり減らすのが『仕入れ』です。
クルマの仕入れですので、当然1台数百万円という価格になります。失敗したときのダメージは計り知れません。
通常、中古車店は『中古車オークション』からクルマを仕入れます。野菜で言う中央卸売市場のような場所ですが、当然、出品店は高く売りたいし、落札店は安く落札したい訳です。
多いのが、セリにいわゆる『サクラ』を介入させて、値段を吊り上げる手法です。セリ自体は基本会場で入札しますが、ネットを使って外部から入札も出来るのです。
通常在庫を仕入れる場合は、高ければ見送れば良いのですが、問題は既に注文を貰っている場合です。この場合は、お客さんを待たしてしまうと販売案件自体が無くなる危険がありますので、多少高くても…という精神状態になってアツくなりがちです。
入札は手元のボタンを押して行うのですが、ワンボタン5000円として、数回押すだけでドンドン利益は少なくなります。
ただ、この場合は高くてもクルマ自体には問題が無いのでまだマシです。
多いのがオイル漏れなんかの隠匿ですね。
オイル漏れというと軽く聞こえますが、漏れている箇所によってはエンジンを下ろして修理しなければなりません。当然、それは落札値に大きく影響するのですが、『漏れ止め剤』を大量に投入する事で一時的に漏れを止める事ができます。
要はオイルの粘度を上げて漏れないようにする訳です。仕入れの段階では漏れは検知出来ませんので、落札して店に運びますが、数日するとやはり漏れてくるわけです。こういう事例はかなり頻繁にあります。
また、急ぎの時や希少なクルマを仕入れる時に『業販』という手法を取る事があります。
これは、在庫を持つ中古車店から直接仕入れる手法です。
昔、旧車の通称『サンマル』という初代フェアレディーZを仕入れた時は何とエンジン自体が別の物と変えられていました。最終的にはエンジンに刻印されているシリアルナンバーから発覚したのですが、知らずに販売してしまうと大問題になるとこでした。
そして、これは私の人生最大のミスなんですが、『抵当権』付の車両です。被害額は120万円…。
コレ、クルマ関係の仕事をされている方も知らない人多いと思います。実は私も知りませんでした。
恐らく、数十年やって1回あるか、無いかという確率ですね…。
通常、クルマに抵当権を付ける場合『所有権』というものを付けます。良くローンでクルマを買われた方の車検証を見ると、所有者の欄に『信販会社名』、使用者欄にあなたの名前が記載されます。
ただ、極稀に『抵当権』という手法が取られる場合があります。
この場合は、車検証に記載されないのです…。
既に買取値を振り込んだ後、名義変更を行う段階になって陸運局から『抵当権』の存在を知らされます。
このままじゃ、名義変更が出来ないと…。
これは確信的な詐欺ですので、当然相手は音信不通。最終的には私が負債を肩代わりする形で120万円を支払って解決しました。
現在、『対 お客さん』で行われる悪質手法の代表は『諸費用の水増し』です。
ネット社会になって車両価格を高く設定する事が難しくなった分、諸費用を不当に多く取って儲けようという物です。中には車検付きで諸費用50万円という業者も有ります。
クルマは高い買い物です。必ず比較検討をした上で購入する事をおススメします。
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