まさに燃費至上主義とも言える日本の自動車業界ですが、その燃費データそのものが信用出来ないというおかしな状況が数十年も続いています。
問題はやはりその計測法にありますが、過去数回、実走行に近づけるという名目で改良がなされてきました。
2011年にそれまで計測法として使用されていた『10・15モード』から『 JC08モード』から変更されましたが、実際問題として大幅な改革は行われず、『お茶を濁す』程度の変更に留まってしまったは、メーカーの消極的な姿勢を反映するものと言えます。
今回は、メーカー発表のカタログ燃費とユーザーの実走行値を比較して、達成率の低いワースト10を挙げていきたいと思います。尚、ユーザー燃費データはユーザー燃費サイト『e燃費』を参考にしております。
カタログ燃費乖離率ワースト10
第10位 トヨタ プリウス
カタログ数値 40.8㎞ / L
実走行値 21.34㎞ / L
カタログ燃費達成率 57.07%
第9位 ダイハツ・タント
カタログ数値 33.4㎞ / L
実走行値 14.95㎞ / L
カタログ燃費達成率 56.84%
第8位 トヨタ カムリ(ハイブリッド)
カタログ数値 33.4㎞ / L
実走行値 16.08㎞ / L
カタログ燃費達成率 56.64%
第7位 ホンダ オデッセイ(ハイブリッド)
カタログ数値 26.0㎞ / L
実走行値 14.67㎞ / L
カタログ燃費達成率 56.42%
第6位 スバルXV(ハイブリッド)
カタログ数値 20.0㎞ / L
実走行値 11.23㎞ / L
カタログ燃費達成率 56.17%
第5位 ダイハツ ムーヴ
カタログ数値 31.0㎞ / L
実走行値 16.22㎞ / L
カタログ燃費達成率 55.54%
第4位 三菱自動車 eKワゴン
カタログ数値 29.2㎞ / L
実走行値 15.9㎞ / L
カタログ燃費達成率 54.45%
第3位 スバル ステラ
カタログ数値 31.0㎞ / L
実走行値 15.32㎞ / L
カタログ燃費達成率 49.41%
第2位 スズキ アルト・ラパン
カタログ数値 35.6㎞ / L
実走行値 17.57㎞ / L
カタログ燃費達成率 49.36%
第1位 日産 ノート(ハイブリッド)
カタログ数値 37.2㎞ / L
実走行値 18.29㎞ / L
カタログ燃費達成率 49.18%
結果はご覧の通りとなります。
ワースト3の3台に関してはメーカー発表値の半分の距離も走っていない事になります。果たしてこれが信用あるデータと言えるでしょうか?
もちろん答えは『NO』です。
見て頂ければわかりますが、実走行値では1位の『ノート』は10位のプリウスに3㎞ / L も負けているのです。
では、なぜこのような事が起こるのか?ハイブリッド車の特性もありますが、各メーカーが燃費を稼げる職人のようなテスト・ドライバーを抱えており、その力量が大きく左右する面は否定できないのです。
では、今度は逆のデータを見てみてましょう。
メーカーの発表値が実燃費に近い3台、即ち、正直に実燃費を公表してるクルマのランキングです。
第1位 マツダ ロードスターRF
カタログ数値 15.6㎞ / L
実走行値 14.76㎞ / L
カタログ燃費達成率 94.59%
第2位 アバルト 124スパイダー
カタログ数値 13.8㎞ / L
実走行値 12.99㎞ / L
カタログ燃費達成率 94.13%
第3位 BMW 5シリーズ(セダンディーゼル)
カタログ数値 16.6㎞ / L
実走行値 15.62㎞ / L
カタログ燃費達成率 94.09%
いかがでしょうか?
このように、達成率でほぼ倍の差が出ている事が分かると思います。
仮に、マツダが『ノート』と同じ達成率でカタログ数値を出すなら 【30.0㎞ / h】以上となり、もっと多くのクルマを売る事が出来るでしょう。
このような達成率の差がある現状で、全て同じテーブルに載せた比較は全く意味を持ちません。
どうして、こんな消費者不在の現象が改善されずにずっと放置されているのか、理解出来ません。
この状況を打破するには1つの方法しかありません。
それは【第3者機関】の設立です。
全てのメーカーがそこに車両を持ち込み、同じ条件で計測する、それ以外には無いと思います。
実際、この方式はアメリカで行われています。
その為、走らせてみるとカタログデータ以上の燃費が出る事は良くありますが、データとしての信頼度は高いですし、何よりアメリカで販売している日本メーカーは現地ではその方式を採用しているのです。
ならば、その数値をカタログ数値にすれば良いはずです。
私が自動車業界に入った頃はカタログ数値との乖離率はせいぜい30%でした。
現実問題その差は年々広がっています。消費者はその事に怒るべきです。
なぜなら自動車以外の製品でここまで現実と乖離したメーカー発表を行う製品は他には無いからです。
なぜ、クルマだけが、それを許されるのでしょうか??
私には理解出来ません。
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