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30年間変わらない軽自動車自主規制64馬力を考える。

 

 

日本独自の規格である『軽自動車』。

 

 

全長×全幅×全高=3400×1480×2000、それに排気量は660cc、定員4名。これが国により決められらた軽規格です。実はこれとは別にメーカー間で自主規制として64馬力迄とするという規制が存在しています。

 

 

最近軽自動車を乗っていて思うのが重くなったなー、という事です。

 

少し前に某社のトールワゴン・タイプの軽自動車に乗って高速道路を走る機会があったのですが、上り坂では速度が急激に落ちてしまい、80㎞/hを割り込む速度帯になってしまいました。こうなると、完全にクルマの流れに乗れず、安全上危険な状態に陥ってしまいます。

 

 

 

 

現在の64馬力規制が出来たのは1987年に発売されたスズキの『アルト・ワークス』が原因となっています。

 

80年代はミラ、アルトの両車が次々にホットモデルを発売し、馬力の向上を図りました。それに歯止めを掛けるべく誕生したのがこの自主規制です。

 

 

しかし、この頃はまだ排気量も550ccで車重も600㎏前後と今とは比べ物にならない位軽量でした。その後、軽の安全基準が上がり、排気量も660cc、車格も現在の大きさになりました。

 

現在、発売されている軽自動車で最軽量はアルトの610㎏、最大重量が i-MiEVの1070㎏になります。i-MiEVはEVですので電池重量が重い事もありますが、最近発売されたN-BOXも1トンを超える重量になっています。

 

 

当然ですが、安全性と居住性を求めるとクルマの重量は増加します。その中で30年前に設定された規制では対応し切れないという場合も出てきます。その場合、規制を無視出来ないのであれば安全性を犠牲にする他ありません。

 

しかし、それでは本末転倒なのです。そもそも、この規制は『安全』を担保する為に作られた物だからです。

 

 

 

 

 

以前、普通車には280馬力という自主規制があった事を覚えている方も居ると思います。私の若い頃はどんなに優秀なエンジンを積んでいても280馬力以上は出ませんでした。

(実際には280馬力と記しながら、それ以上の馬力を持つクルマも多数存在しました。)

 

 

しかし、規制の無い輸入車との戦いの中で限界を感じたメーカーは自ら設定した規制を撤廃しました。

 

ただ、日本独自の規格である軽自動車には外敵が居ない為、30年が過ぎた今も規制が残っています。今後軽のハイブリッド車なども増えて行く事が予想される中、車重は上がる一方です。時代に合った形に変更する必要性を感じます。

 

 

その事が、上のクラス(リッター・カー)の性能をより向上させ、ひいては日本の自動車業界全体の成長に繋がると思います。