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自動ブレーキへの過信は危険。

最近は軽自動車にも搭載しだした『自動ブレーキ』ですが、お客さんと話していると間違った認識をされている方も見受けられます。今回はこの『自動ブレーキ』についてお話していきたいと思います。

 

 

『自動ブレーキって勝手にブレーキを掛けてくれる装置でしょ?』

 

良くお客さんから言われる言葉です。間違いではありませんが、正確ではありません。

 

正しくは、『危険を知らせ衝突を回避、及び軽減させてくれる装置』です。

どこが違うかというと『軽減』という概念です。つまり当たるのです。

 

私達は常日頃、メーカー側から出された映像、つまりギリギリで前のクルマに当たらず停まるという映像を何度も見せられています。その為、このクルマは事故を起こさないという過信が知らず知らずの内に刷り込まれているのです。

しかし実際は日常の走行域である60㎞から自動停止させる事はかなり困難です。

 

今から1年程前ある事件がおきました。

 

某日産ディーラーで『セレナ』の試乗をしていたお客さんが居たのですが、交差点に差し掛かる時に同乗していた営業マンがこう言ったそうです。

 

『自動で停まりますからブレーキは踏まないで下さい。』

 

結果、クルマは速度を緩める事は無く、前のクルマに衝突したのでした。

 

なぜ、クルマは停まらなかったのか?

それは、その日がたまたま曇っていて、前のクルマが黒色だった為、コンピュータが認識しなかったのです。今、日本で自動ブレーキの最先端に居ると言われる『セレナ』でもこの状況です。

 

結局運転していた38歳の男性夫婦は全治2週間のケガをした上、書類送検されるという事件になりました。はっきり言って、クルマのプロである人間でもこのような誤解をしている事が多いのです。

 

これは、『自動ブレーキ』で無く『衝突軽減ブレーキ』なのです。ですので、この機能を公道で試すような事は絶対にいけません。そして、それを過信する事も同様です。

アメリカでもテスラのクルマの自動運転機能での事故が何件も発生していますが、当然ですが、ケガをするのも責任を負うのも人間です。

 

現在、多くの自動運転機能とも呼べる装置の付いた車種が発売されています。一部では高速道路なら既に自動運転可能です、というような無責任な試乗記を書いてるジャーナリストもいますが、今日現在、まだ自動運転が可能であるレベル3の市販車はどこからも発売されていません。

 

技術は上手く使えばあなたの身を守ってくれますが、あくまで主体者は運転手です。油断や慢心は必ずあなたを傷つける事になります。

 

最後に、安全設備が多く採用される一方、価格低減を狙いABSさえ装備されていないグレードを売りに出すメーカーが未だに散見されます。さすがに、それはまずいでしょ?と思うのは私だけでしょうか??