自動車業界で働きたいと思った時、もちろんメーカーに入って開発を行うという道もありますが、文系の方の場合一番に思いつくのが『営業職』ではないでしょうか?
この場合2つの選択肢があります。つまり、新車か中古車か?という事です。
私は一貫して中古の道を歩んできました。
しかし、一般の、特にこれから就職しようとする大学生の方達は新車の方が安定してるんじゃない?とお感じの方も多いと思います。
確かに勤め先を聞かれて『トヨタです。』とか『ホンダです。』と言った方が世間的に通りは良いかもしれません。
私は、サラリーマン時代に中古車販売のコンサルティングで大手ディーラーに半年近く居た事があります。そして、人手が足りないときは商談に入った事もありました。経験的には不十分かもしれませんが、両方やってみた感想としては間違いなく新車営業はしんどいです。
両方同じクルマの営業なんだから一緒でしょ?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、はっきり言って全然違います。
中古車の場合は良く『一物一価』という言い方をします。
情報誌を見てると確かに沢山のクルマが並んでます。しかし、値段・年式・色・装備、そして地理的要因を考えると、同じものは意外と少ないのが分かります。
一方、新車はどこにでもあります。どの店で買っても必ず同じ物が買えるのです。
この差は想像以上に大きいです。
具体的に言うと中古の場合は『物』をこちらでおさえている為、ある程度強気の商談が可能になります。実際値引き交渉をしてくるお客さんは意外と少ないですし、現実問題、ネットの発達で以前のように値引き分を予め載せておくような価格設定は不可能になってます。
ですので、精神的には対等な交渉が可能となるのです。
一方、新車の営業は完全『守りの営業』です。
値引きを迫り攻めてくるお客さん相手に只々防戦一方のスタンスになってしまうのです。
特に最近は車種毎の値引き額などの経験談がネットには溢れてます。そういうのを見て情報武装したお客さん相手に丸裸で戦わなければならないのが新車営業です。
正直自分でやってみて『これは病むな』と思いました。
こんな仕事を毎日やってる新車営業の人は凄いと思います。
確かに既納客がリピートで買い続けてくれる、という事はあると思います。ただ、お客さんは年々シビアになりますし、苦しくなる一方のような気がします。
ただ、中古の場合は既納客のリピートは非常に多いです。新車はどこで買っても一緒ですが、中古はより店選びが重要になってくるからです。
これから自動車関連の職を探そうという方は難しい選択を迫られます。特にEV化の流れの中ガソリン車と比べ部品数が約半分と言われる電気自動車の台頭は部品メーカーの淘汰を意味します。クルマからエンジンとトランスミッションが無くなるという事は、それに関連する企業が必要なくなる訳です。
これは業界にとって歴史的な過渡期になります。
規模が大小も大事ですが、大きいが故に受ける傷も大きいという事が十分有り得ます。
現状の姿だけでなく、より先を見て選択が重要になってくるのです。
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