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国内自動車メーカーが抱えるジレンマ

先日、トヨタ自動車は2020年を目途に国内販売車種を半減させる意向を発表しました。それに伴い、販売網も見直す事になるようです。

 

 

現在、国内大手メーカーは同様のジレンマを抱えています。

それは、国内と国外での需要のミスマッチです。

 

現在日本国内では、軽自動車とワンボックスカーで約半分以上の需要を賄っています。しかし、国外においてこの2車種は殆どと言って良い程需要がありません。

 

最近は東南アジアを中心に「アルファード」など高級ワンボックスカーが散見されつつありますが、主力マーケットである北米では皆無と言えます。

 

この需要のミスマッチがスケールメリットの妨げとなっているのです。

 

おまけに、トヨタにとっての痛手は日米で人気を博していた「プリウス」が今回のフルモデルチェンジで躓いた事があげられます。

確かに、3代目プリウスが大ヒットして売れ過ぎたという点もありますが、トヨタにとって前年対比60%という数字は想定外だったに違いありません。

 

 

今は、自動車メーカーにとって非常に厳しい環境だと言えます。国内では自動車離れ、少子化が進行し、EVへの過渡期でもある為、開発費は膨大な額となっています。

 

一方で消費者の趣向は多様化しているが、経営では『選択と集中』という相反する努力を求められているのでです。

 

今回のトヨタの決定はより消費者のクルマ離れを加速してしまうでしょう。

 

車種を絞ると所謂「尖ったクルマ」を作る事は困難で、より特徴の無い万人受けするデザインに終始してしまう可能性が高いからです。

 

日本にとって自動車産業というのは根幹だと言えます。関連会社の数は言うまでもなく、財政をとってみても自動車税・ガソリン税など自動車に関連した税収入は莫大です。

自動車産業の行く末は日本の行く末とリンクしてしまうのです。

 

その事を踏まえ、今は一企業というよりも国を巻き込んだ戦略が必要です。自動運転に関しても公道実験を行う海外勢に対し、日本ではまだまだ規制も多く、思うような開発が出来ていないのも事実です。

 

このままだと、次世代自動車の時代では日本は勝ち残れません。今こそオール・ジャパンの体制作りが急務だと言えます。